雨漏りの原因と屋根・屋上防水の工法|シート防水という選択肢|富山・石川
「天井にシミができた」「雨の日だけ、どこかから水が落ちてくる」——雨漏りのご相談は、富山・石川でも一年を通していただきます。
雨漏りが難しいのは、水が出てくる場所と、雨水が入っている場所が違うことが多い点です。屋根を直したのに止まらなかった、というお話も珍しくありません。今回は富山・石川で防水工事と塗装を手がける株式会社ニチエイが、雨漏りが起こりやすい場所と、屋根・屋上の防水工法の考え方を、公的な統計や仕様書をもとに整理します。「防水シート」という選択肢についても、できること・気をつけることの両方をお伝えします。
雨漏りの相談は、屋根だけの話ではない
公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センターがまとめている「住宅相談統計年報2025」(2024年度の集計)には、電話相談で挙がった不具合の事象と、その事象が多くみられる部位が一覧になっています。戸建住宅の数字を抜き出すと、雨漏りは次のような位置にあります。
- リフォーム相談・戸建住宅(n=3,314)……「雨漏り」549件・16.6%で2番目に多い(最多は「はがれ」612件・18.5%)。当該事象が多くみられる部位は「屋根、外壁」
- 既存(中古)住宅の相談・戸建住宅(n=462)……「雨漏り」131件・28.4%で最多。部位はやはり「屋根、外壁」
ここで目を留めたいのは、多くみられる部位が屋根と外壁の両方として挙がっていることです。雨漏りというと屋根を思い浮かべますが、統計の上でも外壁は同じくらい顔を出します。現場でも、雨水の入り口としては次のような場所がよく挙がります。
▶ 屋根
屋根材の割れ・ズレ、板金の浮き、谷部や棟まわりのつなぎ目。
▶ 外壁
ひび割れ、シーリング(コーキング)の切れ・やせ。
▶ 開口部・貫通部
サッシまわりのつなぎ目、換気フードや配管が壁を貫いている部分。
▶ 屋上・ベランダ
防水層の傷み、立ち上がりの端部、排水口(ドレン)の詰まり。
▶ とい
詰まりや破損であふれた雨水が、壁を伝って回り込む。
国土交通省の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」でも、防水工事に求められる品質として「防水層は、取合い部を含め漏水がないこと」と書かれています。取合い部——つまり部材と部材が接するつなぎ目が弱点になりやすいことは、公的な仕様書がわざわざ書き添えていることからも読み取れます。
ですから、天井のシミの真上をめくれば原因がある、とは限りません。雨水は野地板や梁を伝って、離れた場所から出てくることがあります。雨漏りは「直す」前に「どこから入っているかを探す」工程が必要——これが、ほかの工事といちばん違うところです。
「勾配のある屋根」と「陸屋根」で、考え方が変わる
雨仕舞い(雨水の処理)の考え方は、屋根の形で大きく2つに分かれます。ここを分けて考えると、「塗装で対応する話」と「防水工事で対応する話」の区別がつきやすくなります。
勾配屋根|雨水を流して落とすつくり
瓦・スレート・金属屋根のように傾きのある屋根は、雨水を面で受け止めるのではなく流して落とすつくりです。屋根材の下には防水紙(ルーフィング)が敷かれていて、屋根材をすり抜けた水はここで止まり、軒先へ導かれます。
屋根の塗装は、おもに屋根材そのものを保護し、見た目を整えるための工事です。塗り替えたからといって雨漏りが止まるとは限りません。防水紙や野地板まで傷みが進んでいる場合は、屋根材の上に新しい屋根を重ねるカバー工法や、葺き替えといった選択になります。この違いは屋根カバー工法とは?葺き替えとの違いとメリット・注意点で詳しくまとめています。
陸屋根・屋上・下屋|防水層で受け止めるつくり
いっぽう、平らな屋上(陸屋根)、1階部分の下屋、ベランダ、工場・倉庫の屋上などは、水が自然に流れ落ちにくい形をしています。ここは面全体を防水層で覆って、雨水を受け止めるつくりです。
この防水層が経年で硬くなったり、ふくれたり、端部がめくれたりすると、そこから雨水が入り、そのまま室内への浸入につながります。傷んだ防水層をつくり直すのが、いわゆる「防水工事」です。塗装とは目的も材料も別の工事だとお考えください。
屋上・屋根の防水は、大きく4つの工法に分かれる
前述の「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」は、3章「防水改修工事」を、既存のアスファルト防水/改質アスファルトシート防水/合成高分子系ルーフィングシート防水/塗膜防水の改修に適用する、と定めています。民間の工事でも、この4つの区分が工法を整理するときの目安になります。
塗膜防水(ウレタンなど)|継ぎ目のない層をつくる
液状の防水材を塗り重ねて防水層をつくる工法です。塗って仕上げるため継ぎ目ができず、複雑な形にも密着させやすいのが特長で、出隅・入隅(外側の角・内側の角)が多い場所や、設備の架台が立っている屋上などで選ばれます。最後にトップコートを塗って紫外線から防水層を守ります。
一方で、塗る厚みが職人の技量に左右されやすく、下地が湿っていると密着しにくいという性質もあります。仕上がりの均一さでは、次のシート防水に分があります。
合成高分子系ルーフィングシート防水(シート防水)|工場でつくった膜を張る
あらかじめ工場で製造された樹脂やゴムのシートを、接着または機械で固定して張っていく工法です。厚みが均一な材料をそのまま張るため、仕上がりの品質が安定しやすいのが利点で、広い平場——マンションの屋上や工場・倉庫の屋根などで多く採用されています。
ただし、シートである以上どうしても継ぎ目(ジョイント)が生じます。凹凸や曲面の多い場所では継ぎ目や納まりが増えるため、形状によっては向きません。
アスファルト系(アスファルト防水・改質アスファルトシート防水)
古くから使われてきた工法で、実績の厚みがあります。ビルやマンションの屋上で、コンクリートの押えを載せた「保護防水」として見かけることも多いものです。改修では既存の防水層の種類や納まりを見きわめたうえで工法を決めます。
どれが優れている、という順番はありません。下地の状態、屋上の形、既存の防水の種類、建物の使われ方によって、向き不向きが変わるとお考えください。
「防水シート」という選び方|POLYFINの場合
当社が屋上防水で採用している防水シートのひとつが、POLYFIN(ポリフィン)です。ドイツで開発されたシートで、日本での取扱いはカスター・ピーエヌ・ジャパン株式会社です。メーカーが公表している内容を整理すると、次のような材料です。
- 素材はポリオレフィン系(FPO)……ポリエチレンやポリプロピレンと同じ系統の樹脂で、食品包装や医療分野でも広く使われている
- 可塑剤を含まない……樹脂を柔らかくする薬剤(可塑剤)が雨水などへ移っていくことが、従来の防水材が硬くなる一因とされる。POLYFINはこれを含まないため、経年で弾性が低下しない、とメーカーは説明している
- ジョイントは熱溶着……重ね部分を熱で一体化するため、経年で剥離することがない、としている
- 長期の防水保証……メーカーが最長25年の防水保証に対応(保証年数は工法・仕様によって異なり、期間中の定期点検や、年数に応じた有償メンテナンスの実施が保証継続の条件とされています)
メーカーは、屋上防水材の弾性(伸びる性質)の比較値としてアスファルト15%/塩化ビニル150%/POLYFIN 500%という数字も公表しています。また、2001年に施工されたPOLYFINから14年4か月後にサンプルを採取して行った試験で、外観の損傷が見られず、引張強度・破断伸長度とも出荷時の製品規格値を満たしていた、という結果も公開されています(いずれもメーカー公表値です)。
ただし、「シートを張れば以後は何もしなくていい」ということではありません。メーカー自身も、日本の複雑な形状の屋上では端部にシール材やウレタン防水を併用することがほとんどで、その部分のメンテナンスが必要になる、と明記しています。実際、雨漏りは平場の真ん中よりも、立ち上がり・端部・ドレンまわりといった取合い部から始まることが多いものです。定期的に見る前提で選ぶのが、防水シートとの正しい付き合い方だと考えています。
実際の現場では「部位ごとに使い分ける」
ここまで工法ごとの性格を並べてきましたが、実際の建物では、1棟のなかに形の違う屋根がいくつも同居しています。当社の施工実績から、考え方が分かりやすい2件をご紹介します。
▶ 平場はシート、複雑な形は吹付に分けた例
富山市水橋 I様邸(築30年・鉄骨造)では、凹凸の少ない屋上の平場にPOLYFINの防水シートを敷き込み、出隅・入隅や曲面の多い下屋と車庫屋根には吹付の工法を採用しました。同じ建物でも、部位ごとに納まりの無理が少ない方法を選んでいます。
▶ 雨漏りしていた陸屋根をウレタン塗膜防水で改修した例
富山市布目 M様邸(築40年・鉄骨造)は、「雨漏りがして困っている」というご相談から始まった工事でした。屋上の陸屋根にウレタン塗膜防水を施工し、端部・ドレンまわり・立ち上がりの取合いをコーキングで止水。施工後は雨漏りが改善しています。
屋上防水は「どの工法がいちばん優れているか」ではなく、その部位にどの工法が合うかで選ぶ——これが現場での実感です。当社が扱っている工法はサービス一覧にまとめています。
※施工の結果は建物の状態・下地・環境により異なります。同じ工法で同じ結果になるとは限りません。
富山・石川で気をつけておきたいこと
雪の多い北陸では、防水層にかかる負担の出方も少し変わります。屋上に雪が長く残れば、その間ずっと水分にさらされます。融雪と凍結が繰り返される時期は、わずかなひび割れや端部の浮きが広がりやすくなります。落雪や除雪の作業で、防水層やドレンを傷めてしまうこともあります。気候と塗り替えの関係は富山・石川の気候と塗装工事|雪・寒暖差に負けない塗り替えの考え方でも取り上げました。
工事の時期についても、押さえておきたい点があります。前出の公共建築改修工事標準仕様書は、防水改修工事の施工一般として、降雨または降雪が予想される場合、下地の乾燥が不十分な場合、気温が著しく低下した場合、強風または高湿の場合などは施工を行わないと定めています。これは官庁施設の工事に向けた基準ですが、下地が濡れていては防水材が密着しないという点は民間の工事でも同じです。北陸で冬に差しかかると、施工できる日そのものが限られてくるということです。雨漏りに気づいたら、雪が本格化する前に一度みてもらうほうが、段取りに余裕が生まれます。
ご自身で見ておける範囲としては、次のあたりが目安になります。
- 屋上・ベランダの排水口(ドレン)に落ち葉や土が溜まっていないか
- 防水層にふくれ・ひび割れ・めくれがないか(とくに立ち上がりの端部)
- 雨のあと、屋上に水たまりが長く残っていないか
- 室内側の天井や壁の角にシミ・カビ・クロスの浮きがないか
ただし、屋根や屋上に上がっての確認は転落の危険があります。高い場所の点検はご自身で行わず、業者にお申し付けください。
雨漏りは「原因を探す」ところから
今回お伝えしたかったことを、あらためて整理します。
- 雨漏りの相談で多くみられる部位は「屋根、外壁」。屋根だけを疑うと、原因を外すことがある
- 勾配屋根は流して落とす、陸屋根・屋上は防水層で受け止める。求められる工事が違う
- 防水工法は大きく塗膜防水/シート防水/アスファルト系に分かれ、下地と形状で向き不向きが決まる
- 防水シートは品質が安定しやすい一方、端部や取合いのメンテナンスは前提として考える
そして何より、雨漏りは浸入している場所を突き止めないと、工事をしても止まらないことがあるという点です。「とりあえず塗っておく」「怪しいところをコーキングで埋める」だけでは、根本が残ってしまう場合があります。
株式会社ニチエイは、富山・石川で屋上防水・屋根防水と塗装をあわせて手がけています。建物の状態を見せていただいたうえで、必要な工事とその理由をご説明します。工事の内容が決まっていない段階のご相談でも構いません。建物診断とお見積りは無料ですので、天井のシミや屋上の傷みが気になっている方は、お気軽にお声がけください。
出典:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025 ― 2024年度の住宅相談と紛争処理の集計・分析」(表1-8・表1-10/PDFの紙面26〜27ページ=PDFファイルの28〜29ページ目)、国土交通省ウェブサイト「公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版」(3章 防水改修工事 3.1.1〜3.1.3/PDFの紙面17ページ=PDFファイルの21ページ目)、カスター・ピーエヌ・ジャパン株式会社「POLYFINとは?」および「25年間防水保証」(いずれも2026年9月3日確認)。防水の効果・耐久年数は建物の状態や環境により異なります。保証の内容は工法・仕様によって変わりますので、個別の条件は現地を確認したうえでご案内します。
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